先日、私と同じ歳の女性から「母親が具合が悪く入院していて、その件について占って欲しい」と言われました。
生死に関しては神様の領域なので占わないと言っておりますが、そうではなく転院した方が良いかどうかを聞きたいとの事でしたので、ご本人にカードを引いていただきました。
①転院する
艮為山 二爻
<爻辞>
「その腓に艮まる。その隨うを拯わず。其の心快からず」
別の病院を探そうとしても、見つからない可能性が高いと判断しました。
②転院しない
水火既済 初爻
<爻辞>
「其の輪を曳く。其の尾を濡おす。咎なし」
無理して動かず、現状維持で良いと判断しました。
けれどもご相談者によると、
「いずれにしてもその病院は近いうちに出ることになる」との事でした。
その病院の先生から「もうこれ以上できる事は何もない」と言われたそうです。
大変なショックだったと思います。その言葉で医者に対しての信頼感も無くしていました。
ただお母さまは90歳とのこと、あり得ることかなと内心思いました。
私は父を32才(私は8才のとき)、母を81才で亡くしてます。人はいつか必ず死ぬものだという考えは昔から持っています。
病院が見つからないなら、自宅に引き取ったらどうかと聞かれたので、
③自宅に引き取る
沢地萃 初爻
<爻辞>
「孚有りて終えず。乃ち乱れ乃ち萃る。若し號えば一握笑いを爲さん。恤うる勿れ。往けば咎なし」
沢地萃は、人・物・お金が集まり、神仏を祀ると良いという卦ですが、重病人を占った時は「葬式の卦」です。初めて易占を教えてくれた高島伯仲先生がそう言った時の記憶が鮮明に浮かびました。
私は生死に関しては占わない、言及しないと決めていますので、ご自宅に引き取っても問題無いとしか言いません。
しかし「人が集まってくる卦」と言ったら、九紫火星のご相談者様は勘もするどく、「人が集まるってお葬式って意味じゃないですよね」と念押しされてしまいました。
しかたなく、私の実母は2年前に81歳で亡くなっている、私たちくらいの年齢になったら、親の死についても覚悟を決めなきゃいけないと、占いではなく懇談のつもりで話したのですが、当然ながら納得される様子はありませんでした。(それはそうですよね)
昨日、この本「人はどう死ぬのか」を読んで、改めてその相談者様を思い出し、その方にご紹介できればよかったと思いました。
あの鑑定の前にこの本を読んでいたら、自宅に引き取ることに関しても、もっと前向きな話や、説得力のある話もできたと思います。
お医者様が「できる事はもう何もない」とおっしゃったのも、この本を読めばある程度理解できるはずです。
その方がこのブログを読む事は無いかもしれませんが、ご縁のある方に届くと良いと思ってご紹介させていただきます。
本の中からいくつか備忘録的に転記します。
大切な身内や自分が死ぬ日が、必ず来るという現実を受け入れるのは、とてもつらいことですが、早めにすませばすますほど、"今”という平穏な日々の大切さが身にしみ、無事であることのありがたみがよくわかります。(118ページ)
「人生百年時代」
この言葉の真に意味するところは、「百歳まで生きられる」ではなく、「百歳まで死ねない」ということだと私は思います。それがどれほど恐ろしいことか。(126ページ)
死に関しても、あれイヤ、これイヤの気持ちを捨てて、死に向かったらそのまま受け入れるのがいちばんだと思っています。(138ページ)